当会恒例の歴史勉強会が9月8日(金)午後、福岡市博物館講座室で行なわれました。今年は、当会会員であり、福岡地方史研究会会長でもある石瀧豊美先生が「黒田家と奨学事業」について、1時間30分にわたって講演されました。会員42名、一般14名の計56名の出席でした。
明治維新に出遅れたと言われた福岡県は、当時の大学進学者数で評価した場合は薩長土肥に続く第5の藩閥と言われ (外山正一)、山口、鹿児島に次いで第3位に位置付けられている。金子堅太郎、福本日南、井上良一にその例を見る。
この淵源は、「中国の兵法を学び、戦わずして勝つ」という黒田家の伝統による。貝原益軒と亀井南冥による藩校修猷館と甘棠館のほかに賛生館、文武館の4つの藩校があった。
幕末の海外留学生、廃藩置県後の海外留学生のなかから日本の学会や政治、経済をリードする人材が輩出されたことはよく知られているところである。
そして人材を育成する制度が黒田家にはあり、そのひとつとして藩校(修猷館)の再興、藤雲館の設立と奨学事業がある。中堀、肥前堀の蓮を県から黒田家に払い下げられ、その収益を光雲神社の維持費や修猷館の経費に使用し、埋め立てられた後はその益金を奨学会の基金として使った。
公益財団法人黒田奨学会は今年で102年となり、現在は黒田家浜御殿の跡地を駐車場として使用し、その収益を給付型奨学金に充てている。